毎年つらい花粉の時期に、お茶を見直してみませんか?べにふうき・甜茶・ルイボスの違いと飲み方
この時期になると、憂鬱な気持ちになる方はたくさんいらっしゃいます。
くしゃみが止まらない。鼻がむずむずして集中できない。薬を飲めば少し楽になるけれど、眠くなってしまう。そんな日々の中で、「何か日常に取り入れられるものはないかな」とふと思って、「花粉症 お茶」と検索された方もいるのではないでしょうか。
私は、創業約80年の日本茶・健康茶の専門店「茶つみの里」の中根と申します。毎年この季節になると、「どのお茶が花粉症に良いですか?」というご相談を、本当にたくさんいただきます。
ただ、正直に申し上げると、情報が多すぎて何を信じればいいかわからなくなっている方が多いな、と感じています。「○○茶が効く」「△△茶がいい」という情報があふれる一方で、「本当のところはどうなの?」というシンプルな疑問に、きちんと答えているものが少ないように思うのです。
私たちが大切にしているのは、目先の売り上げよりも、お客様が安心して毎日を過ごせること。だからこそ、この記事では「効く」とも「効かない」とも安易に言わず、わかっていること・わかっていないこと、両方を正直にお伝えします。
この記事が、あなたが「自分に合ったお茶」を選ぶための、ひとつの道しるべになれば幸いです。
この記事でわかること
- 花粉症対策として話題になるお茶の種類と、それぞれの特徴
- べにふうき緑茶を選ぶときに「ある一点」を確認すべき理由
- 甜茶を買うときに「バラ科かどうか」が大切な理由
- 効果を引き出すための淹れ方と、飲み始めるタイミングの目安
- カフェインが気になる方や、妊娠中の方向けのお茶の選び方
- お茶でできること・できないことの正直なお話
目次
花粉症とお茶の関係、実際のところはどうなの?
お茶の成分がアレルギーに関わる、ざっくりとした仕組み
まず、花粉症の症状がどうして起きるかを、ごく簡単にお話しします。
スギやヒノキの花粉が体に入ってくると、免疫が「敵が来た!」と反応して、ヒスタミンという物質を放出します。このヒスタミンが、鼻水やくしゃみ、目のかゆみの直接的な原因です。
市販の抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンが受容体に結合するのをブロックすることで症状を抑えます。だから即効性があるのですが、一方で眠気などの副作用が出やすいという面もあります。
お茶に含まれるポリフェノールと呼ばれる成分は、このヒスタミンが放出される前の段階に関わると考えられています。「ヒスタミンが出てしまってから抑える」のではなく、「できるだけ出にくくする方向に働く」というイメージです。
ただ、これはあくまで研究によって示唆されていることで、すべての方に同じように効果が現れるわけではありません。この点は最初に正直にお伝えしておきます。お茶は薬ではなく、あくまで日常の補助的な存在として捉えていただくことが大切です。
「べにふうき」が注目される理由
花粉症対策のお茶として、一番よく名前が挙がるのが「べにふうき」ではないでしょうか。
べにふうきは日本で開発されたお茶の品種で、通常の緑茶とは少し異なる成分構成を持っています。一般的な緑茶に含まれるカテキンと似た成分ですが、体への吸収率が高いとされる「メチル化カテキン」という成分を特に多く含んでいます。
農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の研究では、スギ花粉の飛散前からべにふうきの緑茶を飲み続けることで、鼻の症状や目の症状の改善が確認されています。継続して飲んだ場合に、飲み始めてから20〜30分で一時的な症状の緩和を感じたという報告もあります。
ここでひとつ、とても大切なことをお伝えします。
べにふうきはもともと紅茶用として作られた品種です。紅茶として発酵させてしまうと、花粉症対策として注目されているあの成分が製造の過程で失われてしまいます。つまり、「べにふうき」という名前だけで選んでしまうと、期待していた成分がほとんど含まれていない、ということになりかねません。
花粉症対策として飲むなら、「べにふうき緑茶」であることを必ず確認してください。これが、べにふうきを選ぶときの最重要ポイントです。
「甜茶」の選び方には落とし穴がある
甜茶(てんちゃ)は、ほんのりとした自然な甘みが特徴のお茶で、ノンカフェインのため夜でも飲みやすく、花粉症対策として長く親しまれてきました。
ところが、甜茶には実は「種類」があります。
市販されている甜茶の中には、原料の植物が異なるものが混在しています。花粉症対策との関係で研究されているのは、「バラ科」の植物を原料とした甜茶のみです。三重大学などの研究によって、バラ科の甜茶に含まれるポリフェノールがスギ花粉症の症状を予防的に抑える可能性があることが示されています。
ユキノシタ科やアカネ科の甜茶は、味や風味の面では楽しめるお茶ですが、花粉症との関係では、同じ期待はできません。
商品を選ぶときは、パッケージの原料表示を確認する習慣をつけてみてください。「バラ科」の文字があれば、より安心して選べます。ちょっと手間かもしれませんが、毎日飲み続けるものだからこそ、確認する価値があると思っています。
ルイボスティーやウーロン茶はどういう位置づけ?
べにふうきや甜茶のように花粉症との関係で特に研究されているわけではありませんが、ルイボスティーやウーロン茶についても少し触れておきます。
ルイボスティーは南アフリカ原産のハーブで、ノンカフェインであることが最大の特徴です。抗酸化作用を持つ成分を含んでおり、花粉の季節に荒れやすい粘膜を穏やかにサポートする飲み物として、幅広い方に取り入れていただけます。妊娠中の方、授乳中の方、小さなお子さんがいるご家庭でも使いやすいお茶です。
ウーロン茶については、含まれるポリフェノールが免疫の働きに関わる可能性を示した研究があります。ただし、緑茶と同様にカフェインを含みますので、夜や就寝前には向きません。
どちらも「これを飲めば花粉症が楽になる」という確かなものではありませんが、カフェインが気になる方の選択肢や、べにふうき・甜茶と組み合わせて日常に取り入れるお茶として、ご参考にしていただければと思います。
お茶と薬、どう使い分けるか
ここはとても大切な部分ですので、率直にお伝えします。
お茶は花粉症の「治療」をするものではありません。症状がつらいときに、薬の代わりとして頼るのは現実的ではありませんし、私はそれをお勧めしません。
お茶に期待できるのは、「症状のつらさのベースを少し下げる」「日常の体の調子を整える補助をする」という役割です。医薬品のような即効性はなく、継続して飲み続けることで、少しずつ変化を感じていただくものです。
| 対策 | 即効性 | 眠気などの副作用 | 続けやすさ | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 抗ヒスタミン薬 | 高い | 種類によりあり | 薬への依存が生じることも | 症状が強いとき |
| べにふうき緑茶 | 中程度 | なし(カフェインに注意) | 高い | 日常的な補助として |
| 甜茶(バラ科) | 緩やか | なし | 高い | 予防的に継続する |
| ルイボスティー | 緩やか | なし | 高い | ノンカフェインで続けたい方に |
マスクをきちんとつける、花粉を室内に持ち込まない、医師の診察を受けてしっかり治療する。これらを土台にしながら、毎日のお茶を丁寧に選んで続ける。そういう使い方が、お茶にとって一番誠実な付き合い方だと思っています。
花粉症対策のお茶、上手な選び方と続け方
まず確認したいこと:品種と加工方法
お茶を選ぶとき、一番最初に確認していただきたいのが「何から作られているか」と「どう加工されているか」という二点です。
べにふうきは「べにふうき緑茶」であること。甜茶は「バラ科」の植物であること。この確認だけで、選択の精度がぐっと変わります。
農薬の問題が気になる方もいらっしゃると思います。「無農薬」という言葉を見かけることがありますが、実は日本の農水省のガイドラインでは、この表記は使用が認められていません。農薬を使っていないお茶であっても、その表現は使えないことになっています。気になる方は、残留農薬の検査を実施しているかどうかを確認するか、オーガニック認証を取得した製品を選ぶと、より安心できると思います。
どのお茶でも、製造元が信頼できるかどうかを見極めることが大切です。成分の情報を丁寧に開示しているか、問い合わせに誠実に対応しているか。そういったところが、長く付き合えるお茶屋さんかどうかの判断基準になると思っています。
淹れ方ひとつで、成分の出方が変わる
「正しく選んだのに、なんとなく効果を感じにくい」という場合、淹れ方に原因があることがあります。
べにふうき緑茶の場合、含まれる有効成分は熱に強く、高い温度のお湯でよく溶け出す性質があります。80〜90℃以上のお湯で淹れることが、成分をしっかり引き出すための基本です。
お湯の温度を下げると、お茶の甘みや旨みは出やすくなりますが、花粉症との関係で注目されている成分は十分に抽出されません。「渋くて飲みにくいな」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは花粉対策として意識して飲む場合の淹れ方として、ご理解いただければと思います。
甜茶やルイボスティーは、比較的淹れ方の自由度が高く、ティーバッグでも急須でも、日常のペースで取り入れやすいお茶です。
ティーバッグと茶葉のどちらが良いかというご質問もよくいただきます。どちらにも良い面がありますが、大切なのは「続けられること」です。どんなに良い成分を含んでいても、面倒で続けられなければ意味がありません。自分のライフスタイルに合った形を選んでください。
いつから飲み始めるか、どう続けるか
花粉症対策としてお茶を飲む場合、「いつから始めるか」がとても大切です。
農研機構の研究では、1ヶ月以上継続して飲んだ場合に、より高い効果が確認されています。花粉が飛び始めてからあわてて飲み始めても、体の中での変化が追いつかないのです。
目安としては、スギ花粉の飛散が始まる1〜1.5ヶ月前、関東では1月中旬ごろから飲み始めると、体が整った状態で飛散のシーズンを迎えられます。
| 時期 | 目安の時期 | おすすめの飲み方 |
|---|---|---|
| 準備期 | 飛散1〜1.5ヶ月前 | べにふうき・甜茶を毎日の習慣に |
| 飛散初期 | 2月〜3月上旬 | 1日3〜4杯を少しずつ飲む |
| ピーク期 | 3月中旬〜4月 | 症状が気になるときは温かいお茶を |
| シーズン後 | 5月以降 | ルイボスティーなど好みのお茶に移行 |
継続するためには、「自分がおいしいと感じるかどうか」も実は大事な選択基準です。体に良くても、まずくて飲めないでは続きません。渋みが苦手な方には甜茶が向いているかもしれませんし、レモングラスなどとブレンドされた飲みやすいタイプのお茶も市場に出てきています。自分が自然に続けられるものを選ぶ、というのが長期的な対策の基本です。
カフェインが気になる方へ
緑茶・ウーロン茶・紅茶にはカフェインが含まれています。通常の量であれば問題ありませんが、カフェインへの感受性は人それぞれです。飲みすぎると眠れなくなったり、胃が不快になったりすることもあります。
特に以下の方は、ノンカフェインのお茶を選ぶことをお勧めします。
妊娠中・授乳中の方は、胎児や赤ちゃんへの影響を考えてカフェインを控えることが推奨されています。必ずかかりつけの医師にご相談の上で判断してください。小さなお子さんも同様に、カフェインの少ない飲み物を選んでいただくと安心です。
夜にお茶を飲む習慣がある方は、就寝前はカフェインを含まない甜茶やルイボスティーに切り替えると、睡眠の質を下げずに続けられます。
もうひとつ、鉄分との関係についても触れておきます。お茶に含まれるタンニンという成分は、食事中の鉄の吸収を妨げることがあります。貧血気味の方や鉄剤を飲んでいる方は、食事中や食後すぐのお茶は少し控えて、時間を空けて飲む習慣をつけていただけると安心です。
お茶でできること・できないことを正直に
長くなりましたが、最後に一番大切なことをお伝えします。
お茶は、花粉症という症状を「なくす」ものではありません。症状が強い方が、薬をやめてお茶だけで乗り切ろうとするのは無理があります。そういう使い方は、私はお勧めしません。
一方で、「少しでも薬に頼る場面を減らしたい」「日常の中で体の調子を整えたい」「毎日の習慣として安心できるものを選びたい」という気持ちには、お茶は誠実に応えてくれると思っています。
大切なのは、正しく選んで、正しく飲んで、無理なく続けること。この三つです。花粉症の季節を完全に快適に過ごすことは難しくても、「去年より少し楽だったかな」と感じられる日が増えていく、そのお手伝いができれば、お茶屋としてこれ以上の喜びはありません。
まとめ
花粉症とお茶の関係について、できる限り正直にお伝えしてきました。
花粉症対策にお茶を選ぶなら、まず「べにふうき緑茶」か「バラ科の甜茶」であることを確認することが第一歩です。品種の名前だけでなく、どう加工されているか、何を原料にしているか、ここを見る習慣をつけてください。
飲み始めるタイミングは、花粉が飛び始める1〜1.5ヶ月前が目安です。継続して飲み続けることが何より大切で、べにふうきなら80〜90℃以上のお湯でしっかり淹れてください。カフェインが気になる方には、甜茶やルイボスティーという選択肢があります。
お茶は治療薬ではありませんが、毎日の暮らしの中で自分を整えるための、静かで誠実な習慣になると思っています。医師の診察やマスクなどの対策と組み合わせながら、自分に合ったお茶を見つけてください。
毎日の暮らしに、寄り添うお茶。
「毎日続けるものだからこそ、安心して飲めるものを選びたい。」 そんな想いに寄り添えるお茶を、私たちは目指しています。
もし、この記事を読んで「安心して飲み続けられるお茶を探したい」と感じていただけた方は、ぜひ一度私たちのお茶をご覧いただければ幸いです。


