茶つみの里のよみもの
2026.03.06

妊娠中に飲めるお茶・飲めないお茶、何が違うの?安心して選ぶための基礎知識

妊娠がわかった日から、食べるものや飲むものがとても気になり始めた、という方は多いのではないでしょうか。

「いつも飲んでいる緑茶、妊娠中も大丈夫かな」「コーヒーは控えてるけど、お茶はどうなんだろう」——そんな小さな疑問が、毎日のちょっとした不安になっていませんか?

特に「飲んでしまった後で調べて不安になった」という経験は、妊婦さんにはとても多いことです。あとから心配するくらいなら、最初から正しく知っておきたい。そう思うのは、とても自然なことだと思います。

私は創業約80年、日本茶と健康茶を扱ってきたお茶屋の中根と申します。長年、妊娠中のお客様からご相談をいただいてきた経験の中で、正確な情報がなかなか届いていない現状を感じてきました。

「自然のものだから安全」という思い込みや、逆に「お茶は全部ダメかも」という過度な不安も、どちらも本当のことではありません。大切なのは「何を、どれくらい、どんなタイミングで飲むか」を正しく知ることです。

私たちがお茶をお届けする上で、目先の販売よりも、飲んでくださる方の10年後、20年後の健康や安心感を何よりも大切にしてきました。この記事も、その延長線上にあります。妊娠中のお茶選びについて、誠実にお伝えしていきます。


この記事でわかること

  • 妊娠中にお茶のカフェインや成分が体に及ぼす影響の基礎知識
  • 緑茶・抹茶・ほうじ茶・玄米茶など、種類ごとの成分と安全性の目安
  • 麦茶・ルイボスティーなど、妊娠中に安心して飲めるノンカフェイン飲料の選び方
  • ハーブティーの中に含まれる、妊娠中に注意が必要な植物成分の解説
  • 朝・昼・夜・つわり期など、生活シーン別のお茶の選び方と飲み方のポイント


妊娠中にお茶が気になる理由——胎児と母体の生理的な関係

カフェインは胎盤を通過する

妊娠中に「カフェインを控えましょう」という話は、多くの方が一度は耳にされているかと思います。でも、なぜ控えなければならないのか、その理由まで正しく知っている方は意外と少ないように感じます。

カフェインは水溶性かつ脂溶性の性質を合わせ持ち、胎盤関門を非常に容易に通過します。母体が摂取したカフェインは、ほぼそのまま胎児の血液中にも移行します。

問題は、胎児の肝臓や腎臓がまだ発達途中にあるため、カフェインをほとんど分解・排出できないという点にあります。さらに、妊娠が進むにつれて、母体自身のカフェイン代謝も遅くなっていきます。妊娠末期には、非妊娠時に比べてカフェインの分解に2〜3倍の時間がかかることが知られています。

つまり、「少し飲んだだけ」と感じても、胎児の体内では普段より長い時間カフェインが留まり続けるわけです。このような二重の蓄積リスクが、妊娠中のカフェイン制限の科学的な根拠となっています。

具体的な影響としては、胎盤の血管収縮による胎盤血流の低下や、胎児のインスリン感受性への影響が研究で指摘されています。一方で「少量であれば直ちに問題になる」というわけでもありません。国際的な機関が示している1日200〜300mgという目安は、そのバランスを踏まえて設定されたものです。

ご自身の飲み方を振り返るための基準として、まずこの「カフェインは胎盤を通過し、胎児に蓄積しやすい」という事実を知っておくことが大切です。

タンニンと鉄・葉酸の意外な関係

カフェインと並んで、妊娠中のお茶選びで重要になるのが「タンニン」の存在です。緑茶や紅茶に豊富に含まれるタンニン(特にカテキンの一種であるエピガロカテキンガレート、EGCGと呼ばれます)は、食事から摂った「非ヘム鉄」と結びついて不溶性の状態をつくり、腸からの吸収を妨げてしまいます。

妊娠中、鉄分の必要量は非妊娠時のおよそ2倍にまで増加します。妊娠末期には1日あたり21.5mg程度が必要とされ、この時期に鉄分の吸収が阻害されると、鉄欠乏性貧血につながりやすくなります。鉄剤を服用している方が特に気にされているのも、このタンニンとの相互作用です。

さらに、もうひとつ見落とされがちなポイントがあります。それは、カテキンが「葉酸の代謝」に干渉するという点です。葉酸はDNAの合成や細胞分裂に深く関わり、妊娠初期における胎児の脳や脊髄の形成に欠かせない栄養素です。カテキンは葉酸を代謝する酵素の働きを阻害するという専門的な見解が示されており、濃い緑茶や抹茶を大量に飲み続けることには注意が必要とされています。

お食事の直後や、葉酸サプリ・鉄剤を飲むタイミングに、濃い緑茶を合わせることは避けていただく方が安心です。食事との間に少し時間を空けるか、タンニンの少ない飲み物を選んでいただくことで、こうした干渉を穏やかに回避できます。

国際機関が示すカフェインの摂取上限

「1日どのくらいまでなら飲んでいいの?」——これは、妊娠中の方からもっともよく出る疑問のひとつです。世界各国の機関が設定している1日あたりのカフェイン上限量をまとめると、以下のようになります。

機関名上限量(1日あたり)
世界保健機関(WHO)300mg
欧州食品安全機関(EFSA)200mg
英国食品基準庁(FSA)200mg
米国産婦人科学会(ACOG)200mg
カナダ保健省300mg

日本の厚生労働省は一律の数値基準を定めていませんが、こうした国際基準を引用しながら、過剰摂取への注意を促しています。

各機関の数字に若干の幅がありますが、200mgをひとつの目安として覚えておくと実用的です。煎茶(緑茶)100mlあたりのカフェイン量はおよそ20mg程度ですから、1日10杯を超えなければ200mgには届きません。日常的な緑茶の飲み方であれば、過度に心配しすぎる必要はありません。

ただし、これは「カフェイン量だけを見た数字」です。前述のタンニンや葉酸との干渉も考慮すると、種類と量のバランスが大切になります。次の章で、種類ごとに整理していきます。


種類別に見る、妊娠中のお茶との付き合い方

緑茶・抹茶——健康効果と妊娠中の注意点

緑茶は、私たちのお茶屋が長年向き合ってきた、日本人の暮らしに最も身近なお茶です。カテキンやビタミン類など、健康効果の高い成分が豊富に含まれており、非妊娠時であれば積極的にお勧めしたい飲み物のひとつです。

ただ、妊娠中という特別な時期においては、その「健康成分の豊富さ」が逆に注意を要する場面があります。

まず成分量から確認してみましょう。煎茶(一般的な緑茶)100mlあたりのカフェイン量はおよそ20mg、タンニンは70mg程度とされています。1日数杯程度であれば、カフェイン量の上限には達しません。緑茶そのものを完全に避ける必要はなく、1日3〜4杯程度の普通の飲み方であれば、過度な心配は不要です。

一方で、抹茶は少し異なります。抹茶は茶葉そのものをすりつぶして飲む形式のため、成分の摂取効率が格段に高くなります。1杯(約2g使用)あたりのカフェインは64mg程度、タンニン量は333mgと、煎茶の数倍の濃度となります。特にカテキン濃度が高いことから、葉酸代謝への干渉リスクが高まりやすいと考えられています。

抹茶ラテや抹茶スイーツを頻繁に楽しまれている方は、量を意識していただくと安心です。妊娠初期は特に、1日1〜2杯にとどめるか、少し控えめにしておくのが賢明です。

また、玉露については特別な注意が必要です。玉露は旨味を引き出すために遮光栽培を行い、アミノ酸濃度が高い代わりにカフェイン量も非常に多く、100mlあたり160mgと飛び抜けた濃度になります。1杯で1日の上限摂取量に近づいてしまうため、妊娠中は控えていただく方が無難です。

緑茶を楽しまれる際は、茶葉の量を少し減らすか、抽出時間を短めにするだけでカフェイン・タンニン量を穏やかに調整できます。濃い緑茶よりも薄めに淹れたお茶の方が、妊娠中の体には優しく寄り添います。

ほうじ茶・玄米茶——焙煎が生む穏やかさ

「妊娠中も飲んでいいお茶は?」と聞かれたとき、私がまず挙げるのがほうじ茶と玄米茶です。

ほうじ茶は、緑茶と同じ茶葉を原料としながらも、強火で焙煎するという工程を経て作られます。この焙煎の過程で、タンニンが熱によって分解・変化し、緑茶に比べて渋みと刺激が大きく和らぎます。カフェインも焙煎により一部揮発するため、100mlあたりのカフェイン量は煎茶と同程度の20mg前後と控えめです。タンニン量は40mg程度と緑茶の半分以下になります。

さらに、ほうじ茶の持つ焙煎の香りは、多くの方に「落ち着く」「ほっとする」と感じていただける特徴があります。つわり期に強い香りが苦手になる方でも、この焙煎の香りは比較的受け入れやすいという声をよくお聞きします。食後のリラックスタイムや、温かい飲み物が恋しくなる夜に、穏やかに寄り添ってくれるお茶です。

玄米茶は、炒った玄米と茶葉を合わせたお茶で、100mlあたりのカフェイン量は10mg程度、タンニンに至っては2mg程度と、日本茶の中でも特に穏やかな成分量です。玄米の香ばしい風味が特徴で、食事の時間に合わせて飲みやすい一杯です。

どちらも「日本茶らしい温かみ」を残しながら、成分の面では妊娠中の体に余計な負担をかけにくいお茶です。緑茶を日常的に飲んでいた方が妊娠中の代替品として選ばれるケースも多く、生活の中に自然に取り入れていただきやすいと思います。

食中・食後に飲む場合は、鉄分の多い食事との兼ね合いも気にされる方がいますが、タンニン量の少ない玄米茶や薄めのほうじ茶であれば、鉄分吸収への影響も比較的穏やかです。

ハーブティーの選び方——自然由来だから安全、は誤解です

「カフェインを避けたいから、ハーブティーにしよう」と考える方は多いと思います。その発想自体は理にかなっていますが、ハーブティーの選び方には少し注意が必要です。

ハーブは自然由来であるがゆえに、薬理作用を持つ成分を含んでいるものが少なくありません。特に妊娠中に気をつけていただきたいのが、子宮収縮作用やホルモン様作用を持つとされるハーブです。

以下の表に、妊娠中の飲用に注意が必要なハーブをまとめました。

ハーブ名主な注意点
セージ強い子宮刺激作用、神経毒性成分(ツヨン)含有
ラズベリーリーフ子宮頸管を軟化・収縮させる作用(初期・中期は禁忌)
ローズマリー子宮収縮・月経促進作用(大量摂取は禁忌)
カモミール子宮収縮作用の疑い、キク科アレルギーの可能性(大量摂取禁止)
レモングラス子宮収縮作用の疑い(禁忌・注意)
シナモン大量摂取で子宮収縮を誘発する可能性
センナ強力な下剤成分、子宮刺激の副作用

ラズベリーリーフは少し特殊な位置づけにあります。妊娠初期・中期には禁忌とされる一方で、妊娠8ヶ月以降の後期においては「出産準備のためのお茶」として利用される場合があります。子宮の筋肉を整える働きが期待されているためですが、飲み始めるタイミングや量については、かかりつけの医師や助産師にご確認いただくことをお勧めします。

カモミールについても、日常的なハーブティーとして知られていますが、大量・長期にわたる摂取は避けた方が安心です。ほっとしたい時に1杯楽しむ程度であれば問題ないとされることが多いですが、ご心配な方はかかりつけ医にご相談ください。

「ハーブティーなら安心」ではなく、「どのハーブが使われているか」を確認する習慣を持つことが、妊娠中の飲み物選びで大切な視点になります。

麦茶・ルイボスティー——妊娠中の水分補給の主役たち

妊娠中の水分補給において、最も安心してお勧めできるのが麦茶とルイボスティーです。

麦茶は、大麦を原料とした飲み物で、茶葉を使っていないため本質的にカフェインを含みません。タンニンもゼロです。ミネラルを補給できる側面もあり、日常的な水分補給の主体として、時間帯を問わず飲んでいただけます。スーパーやコンビニでも手に入りやすく、冷たくても温かくても飲みやすい点も、妊婦さんの日常に取り入れやすい理由のひとつです。

ルイボスティーは、南アフリカ原産のマメ科植物「ルイボス」の葉を乾燥させたお茶で、カフェインをまったく含みません。タンニン濃度も他のお茶と比べて低く、鉄分の吸収を妨げにくいという特徴があります。鉄・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルを含み、抗酸化作用のある成分も豊富に含まれています。

ルイボスティーには独特の甘みがあり、就寝前に温かく飲んでいただくと、カフェインゼロで体を温めながらリラックスできます。つわり期に緑茶の苦みが気になるようになった方が、ルイボスティーに切り替えてから「飲みやすくなった」とおっしゃるケースも多くあります。

同じくカフェインゼロのお茶として、黒豆茶もお勧めできます。焙煎した黒豆のポリフェノール(アントシアニン)が抗酸化作用を持ち、血流のサポートとしても注目されています。香ばしい風味は、食事の時間にも合いやすい一杯です。

また、たんぽぽの根を焙煎した「たんぽぽ茶」も、コーヒーに似た風味でありながらノンカフェインという特徴から、コーヒー好きの妊婦さんに選ばれることの多い飲み物です。利尿作用があるとされ、むくみが気になる時期に民間伝承的に親しまれてきた歴史もあります。

こうしたノンカフェイン飲料は、「何も気にせず飲める」という安心感があります。カフェインの量を気にしながら飲む緊張感がなくなるだけで、毎日の水分補給がずっと楽になりますよ。

生活シーンに合わせたお茶の選び方

妊娠中の体調は一日の中でも変化しやすく、朝・昼・夜・つわり期といった場面ごとに、飲み物の選び方を変えていくことで、体への負担を穏やかに調整できます。

シーンおすすめの飲み物選ぶ理由
起床時・朝食白湯、薄めのほうじ茶胃腸への刺激を抑えながら体を温める
日中の水分補給麦茶、ルイボスティーカフェインゼロで量を気にせず飲める
食事中・食後玄米茶、ほうじ茶、水タンニンが少なめで、鉄分吸収への影響が穏やか
リラックスタイムデカフェ紅茶、たんぽぽ茶香りを楽しみながら睡眠への影響を抑える
就寝前温かいルイボスティーカフェインゼロで体を温め、入眠をサポート

つわりの時期は、味覚や嗅覚が普段と大きく変わります。緑茶や紅茶の苦みが以前より強く感じられたり、匂いで気分が悪くなってしまう方もいます。そんな時は無理に飲もうとせず、麦茶やルイボスティーなど香りの穏やかなものや、ローズヒップティーのような酸味のある飲み物に切り替えていただくと、口の中のすっきり感が得られることがあります。

飲む温度も意識してみてください。妊娠中は冷えが血流を妨げ、むくみや腹部の不快感につながることがあります。冷たい飲み物を急に大量に飲むよりも、常温か温かい状態でゆっくり飲む方が、体への負担が少なく済みます。

市販のペットボトルのお茶を選ぶ際は、「濃いお茶」と表記されているものがカフェイン・カテキン濃度が通常より高く設定されている場合があります。ラベルに記載の成分表示を一度確認していただく習慣を持っておくと安心です。

自分で急須で淹れる場合は、茶葉の量を少し減らすか、抽出時間を短くするだけで、成分量を穏やかに調整できます。「おいしく、でも体に無理をさせない」バランスを、日々の小さな工夫で見つけていただければと思います。


まとめ

妊娠中のお茶選びは、「全部ダメ」でも「何でも大丈夫」でもありません。

カフェインは胎盤を通過し、胎児の体内に蓄積しやすいという性質があります。国際機関が示す1日200mgという目安を意識しながら、濃さや量を調整することが基本です。また、タンニンが鉄分・葉酸の吸収を妨げる側面があるため、食事のタイミングや鉄剤を服用されている方は特に飲む時間帯に気を配っていただくと安心です。

種類別に見ると、緑茶は適量であれば問題なく、抹茶や玉露は量を控えめにする配慮が必要です。ほうじ茶や玄米茶は成分が穏やかで、妊娠中の代替として取り入れやすいお茶です。麦茶やルイボスティーはカフェインゼロで鉄分吸収への干渉も少なく、水分補給の主役として安心して飲み続けられます。

ハーブティーについては、「自然由来だから安全」という思い込みを一度見直していただき、使われているハーブの種類を確認することが大切です。子宮収縮作用を持つものが含まれていることがあり、飲み慣れたものであっても妊娠中は改めて確認を。

すべての不安に対して「これを飲めば安心」という正解があるわけではありません。でも、正しく知ることで、毎日の水分補給は怖いものではなくなります。

お体の変化が大きな時期だからこそ、飲み物一杯一杯を「安心できるもの」に変えていく小さな積み重ねが、大切な毎日を支えてくれると私は思っています。

ご心配なことがあれば、かかりつけの医師や助産師にご相談いただくことが何より安心への近道です。

毎日の暮らしに、寄り添うお茶。


「毎日続けるものだからこそ、安心して飲めるものを選びたい。」 そんな想いに寄り添えるお茶を、私たちは目指しています。

もし、この記事を読んで「安心して飲み続けられるお茶を探したい」と 感じていただけた方は、ぜひ一度私たちのお茶をご覧いただければ幸いです。

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