茶つみの里のよみもの
2026.02.18

よもぎ茶は妊娠中に飲んでも大丈夫?専門家が教える安全な飲み方と注意点

「妊娠中でも、よもぎ茶って飲んでいいのかな…」

そう思ってこのページを開いてくださった方、まずは少しだけ一緒に考えさせてください。

妊娠中は、口に入るものすべてに気をつかいますよね。カフェインを控えようとすると、飲めるお茶の選択肢がぐっと狭まってしまいます。そんなとき「よもぎ茶はカフェインなしで、鉄分や葉酸も摂れるって聞いたけど、本当に安心して飲んでいいの?」という疑問が浮かぶのは、ごく自然なことだと思います。

ネットで検索してみると、「妊婦におすすめ」という情報がある一方で、「流産のリスクがある」という記事も目に入る。どちらを信じればいいのか、余計に不安になってしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「そうそう、それが言いたかったんだ」という気持ちで読んでいただけているとしたら、この記事はあなたのために書きました。

私は創業約80年、日本茶と健康茶を扱ってきた「茶つみの里」の中根と申します。長年、妊娠中のお客様からよもぎ茶についてのご相談をいただいてきました。そのたびに痛感するのは、「良い面だけ」「悪い面だけ」の情報が一人歩きしていて、正直なところを伝えてくれる場所が少ないということです。

私たちは、目先の売上よりも、お客様の10年後・20年後の健康と安心感を何よりも大切にしています。だからこそ、この記事では「おすすめです」と言い切るのではなく、よもぎ茶の魅力も、気をつけるべき点も、できる限り誠実にお伝えしたいと思います。


この記事でわかること

  • よもぎ茶に含まれる成分と、妊娠中に期待できる働き
  • 妊娠中に注意が必要な成分「ツヨン」について
  • 公的機関が発表している安全性の考え方
  • 飲んでも良いとされる目安量と、避けるべきケース
  • キク科アレルギーとの関係性
  • 安心して選ぶための品質の見極め方


よもぎ茶とはどんなお茶か

どんな植物からできているのか

よもぎは、日本の野山や道端に昔からごく普通に生えている植物です。春になると柔らかな新芽を出し、その力強い生命力から「雑草の王様」と呼ばれることもあります。よもぎ餅や草団子に使われているあの緑色の植物、といえばピンとくる方も多いのではないでしょうか。

その葉を摘み取って乾燥させ、お茶にしたものが「よもぎ茶」です。封を開けるとよもぎ餅を思わせる懐かしい香りが広がり、飲み口はほのかな甘みがあってまろやか。苦味やえぐみが少ないので、草っぽい味が苦手な方でも意外と飲みやすいと感じていただけることが多いお茶です。

ひとつだけ先にお伝えしておくと、日本で一般的に飲まれている「よもぎ茶」の原料と、海外の研究でよく登場する「ムグワート」や「ワームウッド」は、同じよもぎの仲間でも種類が異なります。欧米の研究データを見るときは、この違いを頭の片隅に置いておくと良いと思います。

昔からどのように使われてきたか

よもぎは世界中で長く薬草として使われてきた歴史があります。中世のヨーロッパでは「ハーブの母」と呼ばれ、女性の体の不調や消化器系のトラブルに使われていたと記録に残っています。日本でも、産後の出血を抑えたり、月経不順を整える目的で民間療法として重宝されてきました。

このような伝統が、現代でも「よもぎ茶は身体に良いもの」というイメージにつながっているのでしょう。実際、お客様からよもぎ茶のご相談をいただく際にも、「昔からある植物だから安全なのでは」とおっしゃる方が多い印象です。

ただ、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのです。「昔から使われてきた」という事実は確かに大切ですが、それが「妊娠中でも安全」を意味するわけではありません。昔の知恵と、現代の医学が明らかにしてきたことを合わせて考えることが、今を生きる私たちには必要だと思っています。


よもぎ茶の成分と妊娠中に期待できる働き

鉄分・葉酸・クロロフィル:血をつくる栄養素が揃っている

よもぎ茶が妊婦の方に注目される大きな理由のひとつが、含まれている栄養素の豊かさです。ビタミンCやビタミンA、葉酸、鉄、カルシウム、マグネシウムなど、妊娠中に特に意識して摂りたい成分が幅広く含まれています。

なかでも注目したいのが、あの鮮やかな緑色のもとになっている「クロロフィル(葉緑素)」という成分です。クロロフィルは、私たちの血液の中にある「ヘモグロビン」と非常によく似た構造をしています。ヘモグロビンは体中に酸素を届ける大切な成分ですが、クロロフィルはその働きを助けるように作用するとされています。鉄分や葉酸といった造血に関わる成分と一緒に摂れるよもぎ茶は、血をつくるという観点から見てもバランスの良いお茶といえます。

妊娠中は、赤ちゃんに栄養を届けるために体の血液量が大きく増えます。ところが、血液の液体部分が増えるスピードに、酸素を運ぶ赤血球の増加が追いつきにくいため、貧血気味になりやすい時期が続きます。鉄分や葉酸の摂取が大切と言われる背景には、こういった妊娠中の体の変化があります。

ただ、お茶として飲む場合に摂れる栄養素の量には限りがあります。あくまでバランスの良い食事を基本にしながら、お茶としてのうれしいおまけとして捉えていただくのが自然だと思います。

カフェインゼロ:妊婦に選ばれる理由

よもぎ茶は、緑茶や紅茶と違ってカフェインをまったく含みません。完全なノンカフェインのお茶です。

妊娠中のカフェイン摂取については、世界保健機関(WHO)や日本産婦人科学会も注意を呼びかけています。カフェインはお腹の赤ちゃんにも届くとされており、摂りすぎると影響が出る可能性があることから、妊娠中は量を控えることが勧められています。

「緑茶の代わりになるお茶を探している」という妊婦の方がよもぎ茶にたどり着くケースは、実際とても多いです。毎日のお茶の時間を安心して楽しめるというのは、生活の質という意味でも大切なことだと思います。

また、鉄分の吸収という点でも、緑茶のカフェインやタンニンは鉄分の吸収を妨げることが知られています。カフェインを含まないよもぎ茶は、鉄分補給を意識したい方にとって選びやすい飲み物のひとつです。

食物繊維とカリウム:便秘・むくみへのアプローチ

妊娠中に多くの方が悩む、便秘とむくみ。ホルモンの変化や赤ちゃんが大きくなることで腸が圧迫されるため、便秘が続きやすくなるのは珍しいことではありません。よもぎに含まれる食物繊維は、腸の動きを助けて便通を整える働きがあります。また、老廃物を体の外に出すデトックス的な作用も期待されており、肌荒れが気になる方にも注目されています。

むくみについては、よもぎ茶に含まれるカリウムが余分な水分を体の外に出す手助けをしてくれます。妊娠後期になると足のむくみが気になってくる方が多いですが、温かいよもぎ茶をゆっくりと飲む習慣は、体を温めながらむくみにアプローチするという意味で、取り入れやすい選択肢のひとつです。

さらに、よもぎに含まれる「シネオール」という香り成分には、末端の血のめぐりを良くする働きがあるとされており、冷え性が気になる方から支持されています。冷房の効いた室内で過ごすことが多い夏や、寒い冬場の冷え対策として、温かいよもぎ茶を取り入れる方は多いです。


妊娠中のよもぎ茶、気をつけてほしいこと

「ツヨン」という成分と子宮への影響

ここからは、どうか正直にお伝えさせてください。

よもぎ茶の魅力をご紹介してきましたが、妊娠中に一番気をつけてほしいのが「ツヨン」という成分についてです。よもぎには香りの成分がいくつか含まれていますが、そのひとつであるツヨンは、子宮を収縮させる働きを持つことが知られています。

子宮収縮というと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「子宮が締まる」ということです。月経不順を整える目的では昔から使われてきた特性ですが、妊娠中においては、これが流産や早産を引き起こす可能性につながるリスクとして考えられています。また、ツヨンを大量に摂取すると、めまいや吐き気、体の筋肉への影響といった症状が起きることも報告されています。

「でも昔から飲まれてきたんでしょう?」とおっしゃる方もいると思います。確かにそうです。ただ、体への影響というのは、個人の体質・妊娠の時期・体調・飲む量や濃さによってかなり変わります。「少量なら絶対に大丈夫」と一律に言えないのが正直なところです。

私はお茶屋として、安全かどうかの判断をお伝えできる立場にありません。とくに妊娠初期や、切迫流産・切迫早産と診断されている方は、飲み始める前にぜひ担当の産婦人科の先生にご確認いただければと思います。

キク科アレルギーとの関係

よもぎはキク科の植物です。ブタクサ・タンポポ・菊・カモミールなども同じキク科に属していますが、これらにアレルギーをお持ちの方がよもぎ茶を飲むと、同じようにアレルギー反応が出てしまうことがあります(これを「交差反応」といいます)。

症状としては、皮膚のかゆみや発疹、くしゃみ、呼吸のしにくさ、お腹の痛みなどが考えられます。重い場合にはアナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応が起きることもあります。

妊娠中は体の免疫バランスが変化しやすい時期です。これまでアレルギーを経験したことがなかった方でも、妊娠をきっかけに初めてアレルギー反応が出るケースも報告されています。ブタクサの花粉でくしゃみが出やすい方、菊やカモミールが苦手な方は、念のためよもぎ茶を試す前に担当の産婦人科の先生にご確認いただくと安心です。

専門機関はどう評価しているか

世界各国の保健機関が、よもぎの仲間(ヨモギ属の植物)を妊娠中に飲むことについて、どのような見解を示しているかも触れておきたいと思います。

オーストラリアの医薬品規制機関(TGA)は、ヨモギ属の植物を含む製品について妊娠中の使用にはリスクがあると警告を出しており、妊娠のいずれの時期においても安全でない可能性があるとしています。また、動物を使った実験では、流産や赤ちゃんの発育に影響が出る可能性を示した研究も報告されています。

米国の補完統合医療の研究機関(NCCIH)でも、よもぎは妊娠中に使うべきではないとされており、授乳中の安全性についても十分なデータがないとのことです。

これらの評価は、主にサプリメントのような濃縮された形での摂取や、日本とは種類の異なるよもぎを対象にした研究に基づいています。日本で普通に飲むよもぎ茶がまったく同じリスクを持つとは言い切れませんが、同じ仲間の植物であることを考えると、こうした機関の警告を完全に無視することも難しいと感じています。


安心して飲むための目安と、やめておくべきケース

一般的な飲む量の目安

日本では昔から、よもぎ茶を日常的に飲む習慣があります。市販のお茶として一般的な濃さで飲む場合の目安として、以下のような量が参考にされています。

飲み方目安の量注意したいこと
煮出し茶1日2リットルまで一度に大量に飲まず、少しずつ飲む
粉末タイプ1日5gまで濃くなりすぎないよう量をきちんと量る
ティーバッグ1日2〜3杯毎日飲み続けるなら医師に確認を

ただし、これはあくまでも一般的な目安です。妊娠中は体の状態が普段と大きく違いますし、同じ量を飲んでも人によって体への影響は異なります。目安の範囲内だからといって必ずしも安心とは言い切れません。

ティーバッグや煮出し茶のような飲み方であれば、サプリメントのような濃縮品に比べてツヨンの量はかなり少なくなります。それでも、「心配だな」と感じるときは無理に飲まないことが一番です。気になることがあれば、担当の産婦人科の先生にひと声かけていただくのが、もっとも安心できる方法だと思います。

こんな方は控えてほしい

以下に当てはまる方は、よもぎ茶を飲むのを控えるか、必ず医師に相談してから判断されることをお勧めします。

まず、切迫流産や切迫早産と診断されている方。子宮の収縮に影響する可能性のあるものは、できるだけ避けるに越したことはありません。次に、菊やブタクサ、カモミールなどのキク科植物にアレルギーがある方。交差反応のリスクがあります。また、腎臓の病気やてんかんなどの持病がある方も、医師への相談なしに飲み始めることはお勧めしません。

「これくらいなら大丈夫かな」と迷ったとき、私からお伝えしたいのは「飲まないでいる」という選択肢も大切にしてほしいということです。よもぎ茶以外にも妊娠中に楽しめるお茶はたくさんあります。お腹の赤ちゃんのことを最優先に考えながら、ご自身の体の声と、担当医の判断を大切にしてください。


よもぎ茶の選び方:品質にこだわる理由

国産・残留農薬検査が大切な理由

妊娠中のお客様からよもぎ茶についてご相談をいただくとき、成分の話と同じくらい多いのが「農薬は大丈夫ですか」というご質問です。この心配はとても自然なことだと思います。妊娠中は、添加物や農薬への感度が特に高まりますし、だからこそ何を選ぶかがより大切になってきます。

よもぎは野山に自生する力強い植物ですが、市販品には輸入品も多く出回っています。日本と海外では、使ってよい農薬の種類や基準が異なる場合がありますので、産地不明の製品には少し注意が必要です。

選ぶときに意識してほしいのは、残留農薬の検査が行われているかどうかです。農薬の使用を抑えた方法で育てられたものや、第三者機関による検査結果を公開している製品は、より安心して選んでいただける選択肢です。「有機JAS認証」や「オーガニック」という表示が目安になります。

農林水産省のガイドラインでは「無農薬」という表記の使用に注意が必要とされているため、信頼できるメーカーはこういった代わりの表現を用いていることが多いです。作っている人の顔が見えるような、背景や姿勢のわかる製品を選ぶことが、安心感につながります。産地については、できれば国産を基本に考えることをお勧めします。

風味と品質の見極め方

品質の良いよもぎ茶は、色と香りに出ます。袋を開けたときに青々とした清々しい香りが立ち、深みのある緑色をしているものが新鮮なサインです。粉末タイプは、抹茶のような鮮やかな緑色であることが品質の目安とされています。

色が薄くなっていたり、香りが弱いものは、保管中に品質が落ちている可能性があります。開封したら直射日光や湿気を避け、しっかり密封して保存してください。使い切れない場合は冷暗所や冷蔵庫での保管もお勧めです。

飲んだときの味は、ほのかな甘みとまろやかさがあるものが良質なよもぎ茶の特徴です。苦味やえぐみが強い場合は、収穫の時期や製法に課題があることも。草っぽい味が苦手な方は、薄めに入れたり、水出しで試してみると飲みやすくなることがあります。


他のノンカフェイン茶との比較

妊娠中に選べるお茶として、よもぎ茶以外の選択肢も整理しておきます。

お茶の種類期待できる働き妊婦に選ばれる理由気をつけたい点
よもぎ茶体を温める・血をつくる・便通を整える鉄分・葉酸が豊富、ノンカフェインツヨンによる子宮収縮の可能性、キク科アレルギー
ルイボスティー抗酸化・ミネラル補給代謝サポート、飲みやすい大量摂取には注意
たんぽぽ茶体の中を整える・利尿血のめぐり改善、産後の母乳分泌にキク科アレルギーとの交差性
黒豆茶体の働きをサポート・むくみ改善栄養が豊富、まろやかな味大豆アレルギーへの配慮
なつめ茶鉄分・葉酸補給・安眠不足しがちな栄養素が摂れる糖分の摂りすぎに注意

よもぎ茶の「体を芯から温める」という特性は、他のノンカフェインのお茶と比べても特徴的で、冷えが気になる妊婦の方には気になる選択肢だと思います。ただ、その分だけ丁寧に扱ってほしいお茶でもあります。

ルイボスティーは、妊娠中のお茶として比較的多くの方に安心して選ばれているお茶です。カフェインなし、ポリフェノールが豊富で、フレーバーのバリエーションも多く、日常的に楽しみやすいという点で選びやすいお茶のひとつです。

どのお茶を選ぶにしても、「飲みすぎない」「体調に合わせて調整する」「気になることがあれば産婦人科の先生に相談する」という基本的な姿勢が、もっとも大切なことだと私は思っています。


まとめ

妊娠中のよもぎ茶について、改めて整理させていただきます。

よもぎ茶は、鉄分・葉酸・クロロフィル・食物繊維・カリウムといった妊娠中にうれしい栄養素を含んでおり、カフェインがゼロという点でも、妊婦の方が関心を持つのは自然なことです。体を温め、便秘やむくみをやわらげる働きも期待できます。

一方で、ツヨンという成分による子宮への影響というリスクは、無視できないものです。海外の専門機関も、妊娠中の使用には慎重な姿勢を示しています。キク科のアレルギーがある方には交差反応の注意も必要です。

妊娠中の飲み方の基本は、「少量を嗜好品として、体調を見ながら」というスタンスです。切迫流産・切迫早産と診断されている方や、アレルギーの心配がある方は飲用を控えることをお勧めします。迷ったときは、担当の産婦人科の先生にひと声かけていただくことが、もっとも安心できる選択です。

「身体に良いと聞いたから」という理由だけで飲み続けるのではなく、自分の体の様子を見ながら、無理なく取り入れることが大切です。毎日飲むものだからこそ、安心して続けられるものを選んでほしいと、私はいつもそう思っています。

毎日の暮らしに、寄り添うお茶。


「毎日続けるものだからこそ、安心して飲めるものを選びたい。」 そんな想いに寄り添えるお茶を、私たちは目指しています。

妊娠中にどんなお茶を選べばいいか、もう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧いただければ幸いです。

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